プーケットが、チェンマイが、と続々とタイにとって良いニュースが舞い込んでくる昨今です。
そこで、そろそろこの国の観光業も良くなるでしょう、ということで、開国前の長期保有に値する銘柄はタイ国内に存在するのかチェックをしたいと思います。
今回は観光関連株にしぼり、中でもホテルとその他関係株。
輸送業は含めず、ホテルや観光業のセクターで先週金曜日の取引出来高上位12社をピックアップしました。
ピックアップした12社ですが、出来高順に並べると、
ERW : THE ERAWAN GROUP PUBLIC COMPANY LIMITED
GRAND : GRANDE ASSET HOTELS AND PROPERTY PUBLIC COMPANY LIMITED
CENTEL : CENTRAL PLAZA HOTEL PUBLIC COMPANY LIMITED
GREEN : GREEN RESOURCES PUBLIC COMPANY LIMITED
DTC : DUSIT THANI PUBLIC COMPANY LIMITED
LRH : LAGUNA RESORTS & HOTELS PUBLIC COMPANY LIMITED
ASIA : ASIA HOTEL PUBLIC COMPANY LIMITED
ROH : ROYAL ORCHID HOTEL (THAILAND) PUBLIC COMPANY LIMITED
MANRIN : THE MANDARIN HOTEL PUBLIC COMPANY LIMITED
OHTL : OHTL PUBLIC COMPANY LIMITED
SHANG : SHANGRI-LA HOTEL PUBLIC COMPANY LIMITED
CSR : CITY SPORTS AND RECREATION PUBLIC COMPANY LIMITED
こんな感じです。
エラワン、セントラルプラザ、Green系列、Dusit系列、ロイヤルオーキッド、マンダリン、シャングリラ、は私もパッと見で分かる感じでしたので、みなさんもお馴染み深いかもしれません。
そんな有名な会社群ですが、採算面は先にお伝えするとどこもモノすごい酷いことになっています。
結論ざっくりまとめ
まず駄目な3社はこちら。
これら企業は、超長期的に経営が不安定です。
投資対象としては現状の経営指標からは外すことが無難と思います。
GRAND : GRANDE ASSET HOTELS AND PROPERTY PUBLIC COMPANY LIMITED
ASIA : ASIA HOTEL PUBLIC COMPANY LIMITED
OHTL : OHTL PUBLIC COMPANY LIMITED
長期的な投資対象としてはまず無いです、買える材料は無いでしょう。一切チェック不要。
良い企業は、1社見つかりました。
CSR。
当社は、ゴルフカート&キャディサービス、レストラン、更衣室、会議室、ゴルフショップで構成されるクラブハウスなど、他のいくつかの施設とともに、ナバタニーゴルフコースの名前でサービス事業を提供しています。最優先事項は、会員とその家族へのサービスです。
https://www.set.or.th/set/factsheet.do?symbol=CSR&ssoPageId=3&language=en&country=US
こちらの企業は、ゴルフなどなど完全レジャー系の業態であるにも関わらず、コロナショック下においても黒字を計上し続けた強い企業です。
この企業は観光産業の株の中では突出した結果を残しています。
ご興味の有る方はぜひご自身で細かく見てみてもいいと思います。
Graph1. 各社毎の純利益と税引前利益、株主資本、Net Profit。

いつもながら、私は財務諸表の比較に当たり、生データをこちらから入手しています。
ご確認ください。
まず、こちら2019年度の財務データです。

コロナショックが与えた経済への影響は、2019年末に始まっています。
よって、2019年度の財務諸表は、コロナショック以前の営業実績であります。
ということで、2019年財務諸表が終わってる企業は、終わってると思います。
これにより、以下の企業は調査対象から外します。
GRAND, ASIA, OHTL。
コロナショックを受けてリストラや業務改善を行っている最中だったとしても、何もない時期から自助努力を行えない企業はどう考えても超長期的に上昇するような奇跡は起こらないでしょう。
GREENとマンダリンは、思っていたほどのビジネス規模ではないんですね。
他車比較のために売上単位等を合わせるとほとんど0に見えるほど規模が小さいことを知りました。
ただそれにしても、各社揃って売上利益はものすごい低いですね。。。
LRHとか、ちょっと個別で見てみたくなるほど薄利な気がします。
ということで、2020年と比較してみますと、以下になります。
続きまして、2020年度データがこちら。

順調に、だめな会社は駄目な状況を継続していますね。
GRAND, ASIA, OHTLは連続赤字。
ERW, CENTEL, DTC, LRH, ROH, MARIN, SHANGと、ほとんど赤字に転落しております。
これはイメージ通りで、倒産する会社が続出したことからも厳しい業界であったことは理解できます。
が!
なんと黒字をキープしている会社が2社も有るじゃないですか!
GREEN, CSRです。
なぜだ!ホテル業がなぜ黒字なんでしょうか。
業態を調べてみました。
まずはGREEN
調べて気づきましたが、なんてことはない、この会社はホテル業ではないですね。
以前不動産や不動産開発セクターにいたようで、それで私が比較対象としてピックアップしてしまっただけということでした。
こちら太陽光発電や不動産事業ですね。
発電事業で不動産事業のマイナスをカバーできたんでしょうか。
ということで、観光株ではなかったのであまり詳しく見るのはやめます
次にCSR
こちらも詳しく調べます。
こちらはバリバリの観光レジャー産業ですね。
SETサイトより抜粋和訳
当社はゴルフカート&キャディサービス、レストラン、更衣室、会議室、ゴルフショップで構成されるクラブハウスなど、他のいくつかの施設とともに、ナバタニーゴルフコースの名前でサービス事業を提供しています。最優先事項は、会員とその家族へのサービスです。
とあるので、このコロナショック下で黒字を叩き出したという素晴らしい経営状況です。
ということで、この会社は希望を感じます。
そして、2021年直近四半期はどうなっていたかというと、

黒字ですが、GREENは比較から外します。
DTCが黒字に転換できています。
この企業は、収益構造を見直せている可能性が高いですね。
観光産業が戻れば、より利益を計上できるようになると感じます。
中でも、CSRは引き続き黒字です。
四半期ベースで昨期の利益の50%を計上できていることから、この企業は景気変動に対する耐性が非常に高いですね。
財務データからは、CSRが最高評価、次点でDTCが挙げられるといったところでしょうか。
それ以外の企業は、残念ながら直近四半期データですら黒字転換できていないため、まだまだ影響を引きずる可能性が高いです。
こちらでも書きましたが、資源セクター株は直近四半期すでに戻ってきています。
資源セクターが戻ってきているにもかかわらず、付帯するはずの観光レジャー産業が戻らない、ということは、明らかに経営体制が利益計上できるようなスリムさではないと思います。
まだまだ無駄がかなりある、またはアイデアを出すような若手が経営基盤に登用されていない、そんな気がします。
ということで、次に統計データを見ていきましょう。
比較すべきはCSR, DTCに絞って見ていきます。
Graph2. 各社毎のROEとROA, EPS

2019年グラフですが、こちら。

CSRとDTCに絞ってみていこうと思います。
CSRですが、ROE:3.82、ROA:4.14、EPS:2.42 でした。
DTCは、ROE:6.60、ROA:7.07、EPS:0.38です。
悪くないですが、低いですね。。。
美味しいとは言えない結果です。
次に2020年度

CSRですが、ROE:1.95、ROA:2.15、EPS:1.13 でした。
利益減少の影響からか、全項目で半減ですね。
これは利益も半減しているため、半減した理由も納得できる範囲です。
何れにせよ、低いことに変わりはないんですが。
そしてDTCは、全項目赤字により意味をなしていませんのでスキップ。
次に直前四半期です。

CSRですが、ROE:1.56、ROA:1.74、EPS:0.38 です。
あれ?未だに低いままですね。。。
これはちょっと期待はずれでした。
そしてDTCは、いまだマイナス表記で評価不能。という状況です。
最後に、負債の割合を確認して終わりたいと思います。
Graph3. 各社毎の負債合計と負債返済理論年数

2019年度状況こちらです。

CSRとDTCを中心に見ますと、
CSRは純利に対して約4倍程度の負債なので、そこまで負債が多いわけではないことがわかります。
先にまとめたROEとROAからも、負債過多で経営している状況ではないこともわかりますので、酷い内容では無いと読み取れます。
ただ、DTCについてはちょっと危ないというかどうかなぁと思います。
負債が純利に対して26倍抱えてるのは、ちょっと同業他社比較上低いとは言えない数字ですよね。
26倍というのは、例えばLRHと同水準に当たります。
LRHの株主資本はDTCの約3倍なので、3倍大きい企業が行うほどの負債を抱えて同割合の純利率を計上している、ということになります。
これは会社規模からするとちょっと負債が多いんじゃ?と感じます。
直近のデータをちゃんと確認する必要あるかなぁ、という第一印象。
続きまして2020年度はこちら。

CSRは負債割合が増えましたね。
これはコロナショックもありますし、見え方的にも仕方ない部分があると思います。
そしてDTCですが、赤字であったためちょっと評価不能です。
続きまして、直近四半期はというと、
直近四半期はこちらです。

CSRですが、四半期決算の純利に対しての負債割合のため、年間割合予想に直すと4分の1で約4年強。
おぉ、これは2019年度の水準とほぼ同じですね。
CSRはやはり良い傾向です。
続いてDTCですが、黒転したので比較可能ですが、年間純利予想に直して4分の1評価でも、60年強の負債返済ベースですね。
これは2019年から比較すると負債が一気に2.5倍は増えてますね。
黒字に転じた速度は評価できますが、流石に負債が膨らみすぎていると感じます。
同業他社比較ではDTCはかなり検討している経営状況ではありますが、長期投資としてどうか、という目線では安心して投資できる企業ではないかなぁ、というのが私個人の最終評価になりました。
まとめ
CSRは良さそうですね。
個別に財務諸表をより細かく見ていく価値があると思えます。
観光レジャー業界においてこの影響を受けない経営体制は素晴らしいと思いました。
割安になったタイミングがあれば、ぜひ改めて評価してみましょう。
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